飛行機 予約のマル秘テクニック

飛行機 予約のマル秘テクニック

業界二位の「ヤフートラベル」は、JTBからのコンテンッ提供を受ける一方で、リクルート率いる「じゃらんネット」と手を組むなど、宿泊予約における業界勢力図は、新興ネット業者の台頭で次々に塗り替えられJTBが対面対応というリアルの世界で汗をかいている間に、ネット上のバーチャル店舗が、巨大なマーケットを黙々と構築していたのである。

多様化の時代が古い価値観に変革を迫るインターネットの特性を活かしたビジネス展開インターネットの出現は、私たちの暮らしや商習慣を大きく変えた。 リアルの世界で何十年もかけて培ってきた「権威」が、バーチャル空間でアッという間に突き崩され、覆した側がいつの間にかスタンダードになってしまう。
インターネットは、そんな新時代をもたらした。 なかでも、ITの第二革命といわれるのが「ウェブ2.0」だ。
これを旅行業界に持ち込んだのが、「旅行のクチコミサイト」を運営する「フォートラベル」の創設者・津田全泰だ。 まだ三○歳を過ぎたばかりという津田は、大学在学中から草創期の楽天に携わり、そのまま就職をして楽天八人目の社員となり、「楽天トラベル」在職中にクチコミサイトを考案した。
独立後は、順調に旅行業界のプラットホームを拡大し、そこに価格比較サイトの「カカクコム」が目をつけ、子会社化してから旅行商品の比較購買が一気に加速したのである。 「月間二○○万人の旅行者が集う日本最大の旅行コミュニティ」といわれるとおり、膨大な数のアクティブな人たちが、このクチコミサイトを支えている。
ネットでサービスや情報を受動的に得るだけの時代と違い、ブログやネットに自分の想いや考えを書き込み、多くの人に伝えるのが当たり前な時代になると、従来の権威あるものからの一方的情報発信には、消費者は簡単になびかないことが分かってきた。 そこで、クチコミ情報による新たなニーズをもとに、旅行会社は商品内容を修正したり、新規に企画したりするようになった。
インターネット上の「カタログ・スタンド」に出店する旅行会社や政府観光局は約一○○○店舗を数え、「フォートラベル」は大旅行系メディアの地位を確立したのである。 「個の集積を価値にしている」という言葉のとおり、玉石混交ではあるが、一つのレイヤーとして「クチコミにも価値がある」ことを、津田は具現化したのである。
古い価値観を引きずり過ぎては時代の多様性にはついていけないということを、インターネットはハッキリと教えてくれている。 押されるのを知らず知らずのうちに待つようになる。
こうした心理から、九○年代はアムゥェイなどのネットワークビジネスが拡大した。 いわゆる、「クチコミ商法」だ。
ところがインターネットの登場で、不特定多数のクチコミを覗き見できるようになると、多数意見が絶対優位の「事実」となり、客観とは何かを知ることとなった。 例えば前述の「フォートラベル」の場合、扱い会社をまたいで方面別、テーマ別といった具合に旅行商品をヨコ串で刺しているから、クチコミでも巷を支配できるのだ。
結果として消費者は、他者の意見や感想を参考にしつつ、客観的でドライに商品を選定することができるようになった。 このように、インターネットは時代の多様化を強く後押しした。
旅行業界に詳しいジャーナリストの鶴見昌憲氏は、JTBの弱点を、「属人的な」という言葉を多用して、その在り方に警鐘を鳴らした。 「(JTBのビジネススタイルは、社員個人の)経験値ばかりがモノサシとなり、一冊の教科書になっていないから、常に属人的なことに終始してしまう」と指摘する。

要するに、メーカーのようなモノづくりの現場と違って、次世代社員や同僚たちに大切な資産が継承されていない、共有化されてこなかったというのだ。 もっと分かりやすくいえば、せっかく培ったノウハウや人脈も、担当者が違う部署に転勤でもしてしまえば、そこですべてが途絶えてしまうということだ。
JTBの旧体制における組織では、日常茶飯のように起きていた事実といえる。 そして鶴見氏は、こうした原因の一つに、「ハードを持たない業界の特性」が挙げられると語る。
これはJTBに限らず、旅行会社全体に共通していえることだが、「JRや航空会社、旅館、ホテルといったハードを持つ取引先とは、仲が良いようでいて実は歪んだ関係にあることが災いしている」というのだ。 ハードを持たないゆえの立場の弱さからくる卑屈感と、JTBマンの高いプライドが均衡を保てないでいるのではないか。
デカイ仕事をやってみたい″と考え、ブランド志向でJTBに入社した社員たちは、『単なる(チケットなどの)″取り次ぎ″じゃなく、″プロデュース″をしているんだ』という意識が強い。 だから経営者のもつ危機感が、しもじもにまでいき渡りづらい」と鶴見氏は分析する。
JTBが時代の多様性にすぐさま対応できずにいたのは、組織的な外因と、心理的な内因のニつによるところがあるようだ。 二一世紀のリーディング産業をめざしはじめた今、核となる旅行業を牽引するリーダー的存在のJTBが、社会的役割を果たさずしてタコ壷的属人に染まっていたのでは、業界に明るい未来はない。
つまらぬ油券や古い価値観にこだわっているうちに、ネットの世界では商売の生命線ともいえる商品や価格、サービスに対してのシビアな書き込みがなされ、日々更新され、多くの人に閲覧され、評価されているのである。 JTBは、つい近年まで「何でもそろう」百貨店だった。

JTBのホールディング化は、発表当初、「脱百貨店」による「専門店化」を物語るとマスコミ各紙に取り上げられたが、果たしてそうだろうか。 「百貨店」とはいえ、どこに行けば「その道のプロ」に出会えるのか内部にいてさえわからないほどJTBは肥大化し、コンテンッの数は多いが、それをどこで扱っているのか企業内地図も境界線があいまいになっていた。
そのために、結果として「属人的」なビジネススタイルに終始してしまうというのが現状だったのだ。 本社と関連会社、集権化と分権化、官僚主義と権限委譲、プロパーと他従事者、企業主導と顧客主導など、社内にも対立する概念のせめぎあいがありながら、右肩上がりの時代にあまりJTBの「脱百貨店」による「専門店化」を読み解くJTBの強みを洗いなおす代売業からの脱却社団法人日本旅行業協会(JATA)のホームページを開いてみると、「私たちのことを『旅行代理店』ではなく、『旅行会社』と表現してください」とある。
旅行業界は長らく、一般消費者から「代理店」と呼ばれてきた。 JRや航空券、宿泊券などのチケットを代売してきたからで、それだけでも食べていけた時代が確かにあった。
過重な維問題にされないままで、市場だけが目まぐるしく変わる時代に突入したのである。 ホールディング化は、そうしたせめぎあいに新風をもたらした。
関連会社間をタテ糸とヨコ糸でつなぎ合わせてグループ化する。 集権とも分権とも異なる新たな集合体をつくり出し、向かうべき道筋を指し示しながら集団を再構築する。
そして、「利益」という目標に向かって逼進できる体制を築いたのだ。 そこに一つの「経営戦略」を見出だすことができる。

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